今回の選挙を見ていて、トゲのようにひっかかった言葉がある。
コイケ氏が新党設立の際放った、「考え方が違う人は排除します」という発言だ。
政治的な考え方としては、まあそういうものだろう。別にどうでもいい。

ひっかかったのは、「排除」と「選別」という言葉だ。
その言葉を耳にした瞬間、電撃的に
ナチスが戦争中に行なった「T4作戦」が頭をよぎった。

その言葉、人間に対して使っていいのか!?
じゃがいもや玉ねぎを出荷する際に、
傷がついたものを「選別」し、「排除」するというならいい。

これから人の上に立とう、日本を率いていこう、という人が、
安易にその言葉を使う神経がわからない。
アラビア語も英語もペラペラのグローバルな視点を持つ人だけに残念。

実はきなこも、この「T4作戦」に関してはつい2年程前に知ったばかりだ。
「それはホロコーストの‘リハーサル’だった ~障害者虐殺70年目の真実~」
(2015.11月のEテレ放送)
という衝撃的な番組を見て以来、これは良く知っておかねばならないと思った。

作戦は、精神/身体障害者などを「生きるに値しない命」として、
バスに乗せ、ガス室に連れて行き、殺していたというものだ。
その数、10万〜20万人。その中には多くの子供達も含まれていた。

ミュンスターの司教フォン・ガーレンは、自らの命をかけてこの作戦を非難した。
捕まれば殺されるということを承知で、信者を前に説教したのだ。
その話の内容は感動的だ。

「貧しい人、病人、非生産的な人、いてあたりまえだ。
生産的な人だけが生きることを許されるのなら、
老いて弱った時に全ての人は殺されるだろう。」

この説教は、市民の間にあっという間に広がり、
(当時コピー機はなかったので、書き写し。) 「T4作戦」は中止された。
が、その後、同じやり方で多くのユダヤ人がガス室に送られた。

放送の後で、『ナチスドイツと障害者「安楽死」計画』
という本を図書館でみつけ、3回ほど続けて借りて読んだ。内容は濃い。
素晴らしい本で、本当は買いたかったのだが高くて買えなかった。(3,700円位)

驚くべきは、この作戦には、多くの医師(ほとんどの医師)が関与していて、
障害者を安楽死させることが良いことだと信じこみ、
上からの命令を躊躇なく遂行していたことだ。

その中で、何人かの医師・看護師がこれは良くないことだと気付き、
上からの命令ではなく、人間としての良心に従い、危険を承知で、
殺されそうになった人を逃していた事実も判明している。

“排除”という思想は、相模原の障害者施設殺傷事件にも通じる。
この犯人は「障害者は役に立たない、お荷物である」と考え、
抹殺することは社会のために良いことだと思い込んでいるという。

話はかなり飛んでしまったが、
コイケさん、「選別」と「排除」という単語は、新しい船出にふさわしくない。
使いたいのだったら、じゃがいも畑で汗を流して、“見目麗しい”お芋を選んで下さいな。