最近起こった悲しいこと。
先週、11月25日、キューバのフィデル・カストロさんが亡くなったこと。
偉大な「世界史」そのもののような人だった。

以前、テレビのドキュメンタリーで見たシーンだが、アメリカのジャーナリストに、
「あなたは、その服の下に防弾チョッキを着ているという噂ですが?」と尋ねられた時、
服の中を見せながら、「わたしは、モラルというチョッキを着ているから、大丈夫だ」と微笑んだ。

“カッコイイ!”とは、正にこういうことだ。
630回以上も暗殺の標的にされながら(多くがCIAによるものらしい)、
あの余裕はどこから来るのだろう。

5年ほど前に、地球一周の船旅の途中、キューバに立ち寄った時に、
急遽、カストロさんの講演に御一行様として誘われた。経緯は良く知らないが、
アメリカ嫌いの彼に、アメリカに嫌われているこのツアーが招待されたのだろう。

そのときの印象は、
ものすごくしゃべる人だ、ということ。
政治経済世界情勢から、宇宙のビッグバンに至るまで、縦横無尽、話は尽きなかった。

船が出る時間だから、と話をとめられるまで、エンエンと数時間力強く喋り続けた。
当時85歳にして、あのエネルギーと膨大な知識は驚異的だった。
ゲバラと共に革命を成し遂げた“歴史の人”が、目の前で気宇壮大な話を繰り広げていた。

キューバは医療先進国だ。医師の数は、人口あたり日本の3倍。
経済的には貧しいが、基本的に医療と教育は無料。日本と違って、学びたい人が学べるのだ。
病気になったら病院に行ける。それだけでも素晴らしい。うらやましい。

訪れた当時は、カラフルなアメ車が街を走り、歴史的な建物が数多く残る、いい街だった。
最近アメリカとの国交が回復されたが、一介の旅行者としては、
アメリカが入ることにより、あのいい雰囲気が壊されるかと思うと、ちょっと残念な気もする。

カストロさん、お疲れさまでした。