このあいだの土曜日、たまたま昼頃家にいたら、
テレビで「ケーテ・コルヴィッツ」の絵をやっていた。
ドイツの版画家、彫刻家。

思わず画面に釘付けになった。
「死んだわが子を抱いている母」という絵である。
悲しみが鬼気迫る。

彼女は、社会主義運動に関心を抱き、
貧しい人々や戦争を題材に作品を描いた。
第一次世界大戦で息子を失い、
第二次世界大戦ではナチスから活動を禁じられ、
戦争終結の直前に世を去った。

これまで知らなかったが、
数々の素晴らしい作品を残した人だ。

その作品が、沖縄の「佐喜眞美術館」に多数展示してあるという。
番組は、佐喜眞美術館館長の佐喜眞道夫氏と作家の徐京植氏の
対談という形で進められていた。

で、この佐喜眞道夫氏という人がまた素晴らしい。
戦後、先祖代々の土地を米軍に占拠されたが、
支払われた地代を資金にして絵を集め、
戦争や貧困の悲惨さを表現した作品を中心にコレクションした。
「ケーテ・コルヴィッツ」の作品との出会いがその原点だったという。

その後、困難な交渉の末、米軍から土地の一部を返還してもらい、
丸木位里・俊夫妻による「沖縄戦の図」を展示するために
美術館を建てたという。

常に食ってく心配をしているワタクシだったら、
手にしたお金は全部食べちゃえ…、
とか、船に乗って世界旅行に行っちゃえ…、
(ちなみにブランドの服とかバッグとかは要りませんよ〜)
などとちっぽけなことを考えるかもしれませんねぇ。

しかし、そこは先祖代々続く由緒正しき家柄のお方、余裕である。
というか、真摯である。
得られたお金を何に使うか、3年位考え続けた後に、
美術館を建てた、と、たしかそういうお話だったと思う。

丸木位里・俊夫妻による「沖縄戦の図」も常設展示してある。
この絵もぜひ見たい。
なにより普天間基地のフェンスにくっつくような形で造られた建物を見てみたい。

佐喜眞美術館の屋上の階段は、
慰霊の日(6月23日)の太陽の日没線にあわせて設計されている。
階段を上った先にある四角く開けた窓からは、慰霊の日に沈む夕日が美しいという。

マヤ文明のチチェン・イッツァのピラミッドが、
春分の日・秋分の日に太陽が西に傾いた時に、階段に蛇の形が現れるというのを思い出した。
沈む太陽は、何か特別な感慨を抱かせるもの。
あの世へ行った魂の安らぎを願うものなのだろうか。

たまたま、排水管清掃で家にいて、この番組(再放送のようだ)を途中から見ることができた。
最初から見たかったなぁ…。